Mech Battler Crisis開発録【紹介編】#01

Created: 2025/10/04

初めに

 この記事はタイトルは変わりましたが以前に私が投稿した記事「Unityでスペースロボクラ製作中」の続編です。ゲームのタイトルが決まったため記事のタイトルも変更することにしました。

 また、ゲーム内容の紹介と技術の紹介を一緒に行うと記事の文量が増えすぎてしまうので紹介編技術編に分け、ゲーム内容の変更があった場合は紹介編を投稿しつつたまに技術編でどんな技術を利用しているのかをまとめる形にしたいと思います。

概要:Mech Battler Crisisとは?

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キービジュアル

 Mech Battler Crisisとは私が今年の初め頃からUnityで開発を始めた宇宙を舞台にロボットを組み立てて敵と戦うハイスピードロボットアクションゲームです。

「誰でも簡単にロボットを作れる」
「それでいて強いロボットをどうやって組み立てるか考える戦略性もある」
「無限に遊ぶことができる」
 
 そんなゲームを目指して開発しています。

 さて、このゲームもすでに開発開始から半年以上経過しました。といってもNect lifeの記事では4月の投稿を最後に記事を出せていないので具体的な進捗を全くお見せできていないのですが……実は開発をサボっていたわけではないのです(汗)本当はちゃんと頑張っていたんです。でも記事を書く時間があったら開発したい……というのを延々と続けていたらいつの間にか期間が何か月も空いてしまいました……

 でも、結果的にMech Battler Crisisは進化しました!それこそ4月のころとは全く比較にならないレベルで改良が進み、とうとうゲームとしてのリリースも視野に入る段階に来ました。

 今回はそんなMech Battler Crisisの進化したゲーム内容を紹介していきます。

紹介:タイトル画面

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タイトル画面
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メニュー画面
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マニュアル画面

 ゲームがスタートするとまずこのタイトル画面が表示されます。タイトル画面では現在メニュー画面からミッション選択、テストビルド(ロボットを作ったり動作をテストできる空間)へ移行することができます。またマニュアルも用意しておりゲームシステムの説明を確認することも可能です。

紹介:テストビルド

ロボットの編集について

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テストビルド

 テストビルドを選択するとこのような空間に飛ばされます。ここはロボットを作ったり性能をテストするための空間で、すでにロボットの中核であるCoreがPlayer用とEnemy(敵AI)用の二つ配置される形になっています。このCoreを選択することで選択したCoreを編集するEditモードに移行することができます。

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エディット画面

 エディット画面では現在「ブロックの設置」 「ブロックの削除」 「ブロックの塗装」 「ロボットデータのセーブ」 「ロボットデータのロード」 の全5種類の機能をサポートしています。下のブロック一覧から設置したいブロックを選択して設置、必要に応じて塗装したり削除したりして、最後にデータをセーブすればそのロボットをミッションで利用できるようになります。

 私のゲームは従来のクラフトゲームと比べてかなり簡単な操作でクラフトを行えるようになっています。しかしそれでも全く何も知らない初心者がいきなりロボットを組み立てるのは難しいと思います。そこでこのゲームではロード画面でサンプルを選択することでミッションの敵機体などとして登場するロボットのデータを読み込むこともできるようになっています。

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サンプルデータも使用可能
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実際にロードしたところ

ロボットの操作について

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ロボット操作中の様子

 出来上がったロボットを実際に動かすにはエディット中に画面上部に表示されているプレイを選択すればOKです。実際に操作モードに入ると上記の画像のような画面が表示されます。

 画面中央にある白い四角の枠が範囲内にうつっている敵ロボットをロックオンするロックオンエリア、中央よりやや上にある青色のゲージがロボットの中心パーツのHPゲージ、やや下にある黄色いゲージがエネルギーゲージです。

 ロボットを構成する機能パーツの大半はエネルギーを消費することで動きます。ロケットエンジン、武器ブロックなどを使用するとエネルギーを消費し、0になると一定時間エネルギー回復ができないエネルギーダウン状態へ入ります。この状態になるとロボットはほとんど何もすることができなくなるので敵の攻撃に当たってしまうことになります。敵の攻撃を食らうと腕や足など周辺パーツやロボットの中心パーツなどのHPが減っていき、腕や足のパーツのHPがなくなると部位破壊が発生、中心パーツのHPがなくなると周辺パーツのHPにかかわらず強制的にロボットが全破壊されゲームオーバーになります。

 プレイヤーはHPゲージやエネルギーゲージを気にしつつ戦略を立てたり、ロボットをカスタマイズすることで臨機応変に対応していかなければなりません。

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自作ロボットとの戦闘

 現在はテストビルド内に限りPlayer用のCoreだけでなくEnemy用のCoreも編集することができるようになっています。そしてロボットの操作モードに移行するとPlayer用CoreだけでなくEnemy用CoreもAI操縦で動けるようになります。これを利用して自分で作ったロボットのデータをEnemy用Coreにロードして自分の作ったロボットとPvE対戦することが可能になります。

 技術の話は長くなるのでこの記事では省略しますが簡単に言うと私のゲームではロボットの操作システムをAIが簡単に理解できるレベルに抽象化しています。だからAIは最低限まともに動くロボットであればどんなロボットでも操縦できますし、プレイヤーもそのロボットが人型ロボットだろうが戦艦だろうがすべて同じ操作系で制御可能です。

 これによってプレイヤーはミッションをすべて攻略してやることがなくなったとしても自分自身で敵ロボットを作って対戦を繰り返すことで半永久的にこのゲームを遊び続けることが可能です。さらにはロボットのデータを他人と送りあい、自分と他人のロボット同士をPvEやEvEで対戦させる疑似マルチプレイすら理論上可能です。

 といっても、実際にはまだまだゲーム的なボリュームが足りないので「本当にこのゲームを1年~2年先まで延々遊んでいられるかどうか」はまだ微妙な段階です。しかしAIの実装が完了したことでその可能性は明確に現実味を帯びてきています。

紹介:ミッション

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ミッション選択

 現在はミッションシステムが調整中のためまだちゃんとしたミッションが準備できておらずサンプルに存在するロボットと1v1で戦うモードと、ミサイルシップと人型ロボット2体と一度に戦う1v3の二つのミッションしか用意できていません。しかし将来的には様々な種類のミッションやストーリーモード、プレイヤーによるオリジナルミッションの作成機能なども実装する予定です。

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1v3ミッション

 ミッションを選択するとテストビルドとは違う実際の宇宙空間で敵ロボットと戦うことになります。当然テストビルドと違って目の前の敵ロボットのデータを編集することはできません。プレイヤーは自分とロボットの力だけでミッションに登場する敵と戦う必要があります。

紹介:スマホ対応について

 このゲームは可能な限り誰でも簡単にロボットを作って遊べることを目指しています。しかし実際にはそれが「PCゲーム」である限り無視できないハードルが存在することを意味します。普段スマホでしかゲームをプレイしていないライトゲーマーやPCを購入したり自由に使うことが難しい子供などPCゲームであること自体が障壁になってしまう消費者の存在は決して小さくはありません。

 自分自身も子供の頃youtubeで見たPCゲームに憧れを抱きながらもそれをプレイ可能なゲーミングPCを購入するハードルはあまりにも高く何年も悔しい思いをし続けた経験があります(今ならゲーム製作できるくらいには性能の高いPCを購入したのでプレイできますが、長年我慢し続けた反動で一度やりだすと翌日の午前3時くらいまでぶっ通しでやり始めてしまうので怖くてまともに触れていませんw)

 そこで今回このゲームをスマホへ対応させました!

 すでに自分のAndroidスマホへapkファイルとしてインストールしたゲームの動作テストも終えており、現時点でほぼPC版と変わらない操作感でゲームをプレイできることが確認できています。

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スマホUIを表示した様子(ただしPC上でテストしているときの映像であることに注意)

 今回のスマホ対応は販売戦略的な意味合いもあります。

 はっきり言ってPCのクラフトゲームに対抗できるハイクオリティゲームを個人開発するのは限りなく困難です。しかしスマホであればまったく別です。もともとスマホでは本格的なクラフトゲームは数えるほどしか存在しないのですが、私が開発しているMech Battler Crisisのように本格的なロボットを作って遊べるゲームともなるとほぼ皆無と言えます。

 全くないわけでもないのですが……正直、PCのクラフトゲームをオマージュしたような中途半端な作品しか存在していないのが現状です。もしあったら中学生~高校生の頃の私がストアの果てまで探しまわって掘り出していることでしょう。

 もしそんなスマホゲーム市場でこのMech Battler Crisisをリリースしたらどうなるでしょうか?

 それこそ飛ぶように売れる……とまでは言いませんが決して少なくない売り上げが期待できると思います。

 懸念点が全くないわけではありません。そもそもスマホゲームではクラフトゲームの需要自体が少ないから誰も作ろうとしなかった……という可能性もあります。しかし、例えば有名な統合版MinecraftのAndroid版は有料アプリでありながらダウンロード数数千万を叩き出しており、またMech Battler Crisisとゲーム性の近い「乗り物クラフトゲーム」のようなゲームでも1000万ダウンロードを記録しているものがいくつか存在します。ここから考えてクラフトゲームの需要がないとは到底私は思えないのです。

 やはりシンプルにクラフトゲームの開発やスマホのパフォーマンスが原因で今までクラフトゲームが作られなかった可能性が高いです。しかしそれらの問題点はすでに私は完全に解決してます。Mech Battler Crisisのクラフトシステムはすでにほぼ完成されていますし、パフォーマンス問題も数十体の大型ロボットを一度に動かすレベルの無茶苦茶をやらなければ十分以上にスマホで動作することを確認しています。最悪の場合はUnity DOTSと呼ばれる超高速処理を実現可能なシステムの導入を行う手も残されています(おそらくほぼすべてコードを書き換えるレベルの大規模修正を行うことになるでしょうが……)

最後に

 実は記事を投稿できていなかった間に大学の交流会やオープンキャンパスで何度かこのゲームを展示する機会に恵まれました。実際にゲームを触ってくれた参加者からは「すごい」という声は多くいただいたのですが「面白い」という感想はあまり聞こえてきませんでした。

 それもそのはずで、この時点でMech Battler Crisisはミッションシステムはおろか対戦AIですら全く実装できておらずただロボットを作って動かすだけのゲームに過ぎなかったのです。いくら使っている技術がすごくてもやることがロボットを作って「動かすだけ」では「すごい」とは言われても「面白い」とは言われないのは当然です。

 クラフトゲームの面白さは「作って遊ぶ」で1セット、いくらすごいロボットが作れてもそのロボットを使って遊ぶことができなければ面白いわけがありません。

 しかし今Mech Battler Crisisはようやくその「作って遊ぶ」を実現することができました。ついに単なる技術開発を超えて「ゲームとして」Mech Battler Crisisがちゃんと評価されるかどうかが試されることになるのです。

 そしてこのMech Battler Crisis、なんと2025年11月9日開催の「東京ゲームダンジョン10」への出展が決まりました。さらに11月26日にも別のイベントで作品展示を行うことが決まっています。

 本当にここが正念場だと思います。

 少しでもみんなが楽しめるゲームを作れるようにこれからも頑張りたいと思います!